
社会保険労務士(社労士)試験に合格するためには、いくつかの厳しい基準をクリアしなければならないことが知られています。
具体的には、主に以下の3つの基準を満たす必要があります。
- 【総得点】全体の合格基準点をクリアすること
「選択式試験(全40点満点)」および「択一式試験(全70点満点)」のそれぞれで、年度ごとに設定される総得点の合格ライン以上の点数を獲得する必要があります。 - 【科目別基準点】すべての科目で足切りラインをクリアすること
総得点がいくら高くても、1科目でも基準点に届かないと不合格になります。- 選択式(全8科目 / 各5点満点):原則として各科目3点以上
- 択一式(全7科目 / 各10点満点):原則として各科目4点以上
- 【補正(救済)】難易度による調整基準をクリアすること
年度ごとの試験難易度や平均点により、特定科目の基準点が引き下げられた場合(選択式2点以上、択一式3点以上など)、その調整後の基準点を満たす必要があります。
試験形式と原則となる科目別基準点
| 試験形式 | 全体満点 | 科目数 | 原則となる科目別基準点(足切りライン) |
|---|---|---|---|
| 選択式試験 | 40点満点 | 全8科目(各5点) | 各科目 3点以上 |
| 択一式試験 | 70点満点 | 全7科目(各10点) | 各科目 4点以上 |
【選択式】全8科目(各5点満点 / 計40点)
- 労働基準法及び労働安全衛生法(3点以上)
- 労働者災害補償保険法(3点以上)
- 雇用保険法(3点以上)
- 労働に関する一般常識(3点以上)
- 社会保険に関する一般常識(3点以上)
- 健康保険法(3点以上)
- 厚生年金保険法(3点以上)
- 国民年金法(3点以上)
【択一式】全7科目(各10点満点 / 計70点)
- 労働基準法及び労働安全衛生法(4点以上)
- 労働者災害補償保険法[労働保険徴収法含む](4点以上)
- 雇用保険法[労働保険徴収法含む](4点以上)
- 労務管理その他の労働に関する一般常識 / 社会保険に関する一般常識(4点以上)
- 健康保険法(4点以上)
- 厚生年金保険法(4点以上)
- 国民年金法(4点以上)
理論上は「満点を取る必要はない」けれど…
これらの客観的な基準さえ満たせば合格できるため、満点を取る必要は一切ありません。
例えば、択一式(70点満点)の合格基準点が42点だった場合、全体で6割正解できれば合格ラインに達します。つまり、残りの28問は不正解でも問題ない計算になります。
一般的に言われる受験テクニック・得点戦略
そのため、受験業界ではよく以下のような得点戦略が語られます。
- 難関科目は足切り回避に集中する(選択式の労基・安衛などは難解なため、最低限の基準点を死守する)
- 配点の高い科目を得点源にする(択一式で配点の大きい健康保険・厚生年金・国民年金の年金・社会保険系で稼ぐ)
- 難問は無理に解かない(いわゆる「捨て問」を作り、確実に解ける問題に集中する)
合格者の本音!「どの問題にも全力で挑む」しかない理由
1. 試験の難易度が高く、科目ごとに上振れ・下振れが起きる
社労士試験の合格率は例年5%~7%程度の超難関です。出題者側も受験生をふるい落とすために趣向を凝らした難問を出題してきます。
特に選択式試験は運の要素も大きく影響します。膨大な学習範囲に対して、1科目わずか5問しか出題されません。仮に同じテーマから2問出題され、そこを落としてしまうと、残り3問を全問正解しなければ即足切り(不合格)になってしまいます。
私自身の体験でも、次のような極端な得点のばらつきがありました。
- 雇用保険法:選択式は2点で「救済(補正)」のおかげでギリギリ合格。一方、択一式は7点と好成績。
- 健康保険法:選択式は5点満点だったものの、択一式は基準点ギリギリの4点。
合格したときの実際の得点は以下の通りです。

仕上げていたはずの健康保険法の択一式がギリギリの4点でしたが、一般常識で9点をたたき出し、なんとか択一式の総得点を上積みすることができました。
この年の択一式の総得点は47点以上が必要でした。
もし、択一式の一般常識が5点なら総得点は46点となり、不合格でした。
私のケースは、択一式の年金3科目で高得点を狙うという定番のゲームプランがうまくいかなくても、他の科目の頑張りで埋め合わせが可能という実例になろうかと思います。
このように、すべての科目をまんべんなく対策していたつもりでも、当日の問題との相性で得点は大きく変動します。「特定の科目を得意にして高得点を狙い、他の科目は手を抜く」という余裕はどこにもありません。
すべての科目を得意科目にして試験に臨む必要があると思います。
2. 合格ラインは試験が終わるまで誰も分からない
当たり前ですが、その年の合格基準点は全受験生の採点結果が出た後(合格発表時)にしか分かりません。
選択式・択一式ともに8割以上得点できていればまず安心ですが、多くの受験生はボーダーライン上に集中します。合格ラインを超えられるかどうかは「1点1点の積み上げ」にかかっているのです。
他の受験生が諦めてしまう「捨て問」で泥臭く1点を確保できたかどうか――その1点が合否を分ける決定打になります。
3. たった「1点差」で1年間の努力が泡となる
「解けないから」と諦めたその1問のせいで不合格になったとしたら、悔やんでも悔やみきれません。社労士試験では、毎年実に多くの受験生がわずか「1点差」に泣いています。
どの問題も同じ「1点」です。「絶対に合格する」という強い意気込みで、すべての問題に全力でぶつかっていく姿勢こそが合格を引き寄せます。
初見・難問に出会ったときの具体的対処法
試験本番で「見たこともない問題」に出会ったとき、私が実践していた思考プロセスをご紹介します。
① 落ち着いて、基礎知識の応用が効かないか「深掘り」する
初見の問題に見えても、選択肢をじっくり読み解くと既存の基礎知識の組み合わせで解けるケースが多々あります。パニックにならず、落ち着いて深く息を吐き、頭を整理してから問題に向き合いましょう。
② 選択式は「文脈のロジック」から推測する
選択式(特に最高裁判所の判例問題など)では、問題文の前後のつながりや文脈を注意深く観察します。国語的なアプローチで文章の論理的つながりを考えることで、勘だけに頼るよりも確実に正答率が上がります。
③ 統計・一般常識は「周辺知識の計算&日常の視点」で攻める
一般常識科目などで最新の数値を知らない問題が出た場合でも、諦めてはいけません。
例えば「65歳以上の男性の就業率」を問われた際、数値そのものを知らなくても「65歳以上の人口」「男性割合」「就業者数」などの記憶している別データを組み合わせれば、概算を手計算で導き出すことができます。また、日頃からニュースや新聞で得ている社会感覚も大きなヒントになります。
④ 一度チェックをつけて「後回し」にする
その場ですぐ思い出せなくても、他の問題を解いている最中に脳が整理され、ふと閃くことがあります。解けない問題にはマークをつけて一旦飛ばし、最後に再度吟味しましょう。(※これは諦めることではなく、得点を最大化するための戦略的タイムマネジメントです。)
絶対NG!やってはいけない解答パターン
絶対避けてほしいのは、「最初から諦めて適当にマークする」「サイコロを振るように適当な番号を選ぶ」ことです。
その1点があなたの合否を直接決めるかもしれません。最後の1秒まで、自分が培ってきた知識と経験を総動員して選択肢を絞り込んでください。
ただし、1つの難問に時間をかけすぎるのも禁物です。見極めを誤って時間が足りなくなり、解けたはずの基本問題を落としてしまっては本末転倒です。「全力で思考しつつも、タイムマネジメントを徹底する」というバランス感を意識して試験に挑みましょう!

最後までご覧いただきありがとうございました。
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