金銭の時間的価値とは
「お金には時間的な価値がある」と初めて言われたら、知らない人は何を言っているのか分からないでしょう。
実は、時間とお金には密接な関係があり、私たちの暮らしやビジネスとも直接的な影響があります。
例を交えながらご説明したいと思います。
「今手元にある1万円」と「1年後の1万円」は同じ価値か?
「今手元にある1万円」と「1年後の1万円」は同じ価値でしょうか。
1年くらいではあまり実感がないかもしれませんが、5年後、10年後だったらどうでしょうか。
なんとなく「今手元にある1万円」の方が価値が高いのではと思われた方も多いと思います。正解です。
例えば、年利10%の定期預金があったとすると、「今手元にある1万円」は1年後には11,000円になります。
つまりこの場合は「今手元にある1万円」は「1年後の11,000円」と等しいとも言えます。
式で表すと次のとおりです。(年利10%の場合)
「今手元にある1万円」=「1年後の11,000円」
よって、年利10%の場合、「今手元にある1万円」と「1年後の1万円」は次の関係が成り立ちます。
「今手元にある1万円」>「1年後の1万円」
つまり、「今手元にある1万円」の方が「1年後の1万円」よりも価値があるということになります。
同じ1万円であっても、時間単位で比べると価値が異なる、この考え方が「金銭の時間的価値」です。
日常生活での例
住宅ローン
まだ十分な貯蓄がない若い方でも、住宅ローンを組むことで新築の戸建住宅やマンションを手に入れることができます。
今は大金がなくとも、購入者の信用をもとに将来の返済を約束することで、住宅購入資金を得られます。
言わば、住宅ローンを組むことで、将来の時間を買い、タイムワープして夢のマイホームを手に入れることができるのです。
購入者は住宅ローンの金利の負担を承知のうえでローンを組みます。
借入金の大きさや金利、返済期間によっては、金利分の返済額は数千万円になることもあります。
それでも、購入者がローンを組むのは、以下の式が成り立っているからです。
「買いたい住宅の現在の値段」=「買いたい住宅の現在の値段+将来の金利分の返済額」
定期預金
定期預金では、預ける側にとっては、決まった期間お金の出し入れが制限されます。
その見返りとして、一定の金利分の収入を得ることができるのです。
定期預金においては次の式が成り立ちます。
「定期預金に預けるお金」=「定期預金に預けるお金+満期時に得られる預入期間に応じた金利収入」
ビジネスでの例
ビジネスにおいて思い切った投資が必要なとき、企業は金融機関からお金を借りて投資を行うことがあります。
お金を借りる企業にとっては、借入金とその利息の返済に見合ったリターン(利益)が得られるかどうかが一つの判断要素になります。
式にすると次のとおりです。
「投資により将来得られる利益」>「借入金とその利息の返済」
「=(イコール)」では意味がありません。プラスマイナスゼロですので、成長がないことになります。
はじめから「=(イコール)」、あるいは「>」ではなく「<」と分かっているのであれば、投資をしないほうがましということになります。
将来の返済額、あるいは将来の利益を現在の価値に置き換えて比較可能なものにできればこのような経営判断が可能になります。
実は、このような比較にも「金銭の時間的価値」の考え方が応用されています。
金銭の時間的価値という概念は応用範囲が広いですので、覚えておくとビジネスのみならず、日々の暮らしでも役立ちます。
基本的な考え方をご理解いただければ幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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