今回は損益計算書に関して、5分間で全体像をご理解いただけるよう、説明します。
損益計算書(Profit and Loss Statement, Income Statement)とは
損益計算書は、一定期間における損益を表したものです。
損益計算書を(P/L、ピーエル)と呼ぶことがありますが、この「P」は、「profit」(利益)、「L」は「loss」(損失)を表しています。
これは、損益計算書のことを英語で「Profit and Loss Statement」と呼ぶことに由来しています。
また、損益計算書のことを「Income Statement」と呼ぶこともあります。どちらも同じ意味です。
損益計算書で分かること
損益計算書で分かることは、ざっくり言えば「儲かっているかどうか」です。
損益計算書には、お金の入り口(収入)と出口(支出)のそれぞれが記され、最後にその最終的な損益が表示されます。
また、その入り口(収入)や出口(支出)に関して、「本業に関するものか」、「本業以外に関するものか」などの切り口で段階的に表示されますので、「何が儲けや損失の原因なのか」を把握することもできます。
損益計算書の流れ
損益計算書では、収益の源泉である売上高を一番上(トップ)に記載します。
その売上高から、かかった費用やその他の収益・損失を順番に加減し、最後に残った利益(あるいは損失)を一番下(ボトム)に記載します。
このことから、売上高のことを「トップライン」、最終損益である当期純利益のことを「ボトムライン」と言うこともあります。
それでは、損益計算書の記載を上から順に見ていきましょう。
損益計算書の全体像
損益計算書の全体像は以下のとおりです。※リンクでそれぞれの項目に移ります。
①売上高 |
②売上原価 |
③売上総利益(①ー②) |
④販売費および一般管理費 |
⑤営業利益(③ー④) |
⑥営業外利益 |
⑦営業外費用 |
⑧経常利益(⑤+⑥−⑦) |
⑨特別利益 |
⑩特別損失 |
⑪税引前当期純利益(⑧+⑨−⑩) |
⑫法人税等 |
⑬当期純利益(⑪ー⑫) |
売上高(Revenue)
先程ご説明の通り、損益計算書の一番上には売上高を記載します。
売上高に含まれるのは製品やサービスの売上に関するものです。
所有する土地や建物の売却などは売上高に含まれません。
売上原価(Cost of Goods Sold)
売上原価とは、売れた商品の仕入れや製造に直接的にかかった費用のことです。
売上原価は、製品が売れると同時に費用としてカウントされます。
逆を言えば、売れる前の製品は売上原価(費用)としてカウントされません。
売れるまでは「棚卸資産(たなおろししさん)」という自社の「資産」の扱いになります。
売上総利益(Gross Profit)
「売上高」から「売上原価」を差し引いたものを「売上総利益」と言います。
売上総利益を見れば、自社の主力製品・サービスの営業からどれだけの利益を生み出しているのかがわかります。
「売上総利益」のことを「粗利(あらり)」と呼ぶこともあります。
販売費および一般管理費(General Operating Expenses)
販売費および一般管理費は、製品やサービス一つ一つの売上とは直接的な結びつきがない費用のうち、通常の業務で発生する費用のことです。
広告費やオフィスの家賃、倉庫管理コスト、事務社員の給料、減価償却費用などが販売費および一般管理費に該当します。
売上原価との違いをあらためてチェックしましょう。
- 売上原価・・・製品やサービスに直接的な結びつきがある費用
- 販売費および一般管理費・・・製品やサービスとは直接的な結びつきがない費用
営業利益(Operating Income)
売上総利益から販売費および一般管理費を差し引いたものが営業利益です。
営業利益を見れば、企業の本業からどれだけの利益を生み出しているのかが分かります。
営業外利益(Non-operating Income)
営業外利益とは、企業の本業以外で継続的に得ている収益のことです。主に財務活動から発生したものが対象となります。
例は以下のとおりです。
- 保有する株式からの受取配当金
- 金融機関から受け取った利息
- 不動産からの賃料
営業外費用(Non-operating expenses)
営業外費用とは、企業の本業以外で継続的に発生する費用のことです。
営業外利益同様、具体的には、財務活動から生じるものです。
- 金融機関に返済する利息
- 社債発行に伴う利息
- 有価証券の売却に伴う損失
経常利益(Ordinary Income)
経常利益は、営業利益に、営業外収益を足し、営業外費用を引いたものです。式で表すと以下の通りとなります。
経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用
これまでの説明の通り、営業利益が「本業からの利益」で、営業外収益と営業外費用は「本業以外の収益と費用」です。
これらを合算することで、企業の経常的(継続的)な儲け具合を把握することができます。
特別利益(Extraordinary Income)
特別利益とは、「本業」からでも「経常的な業務」からでもない、例外的に発生し、かつ金額的にも大きな利益のことです。
以下のようなものが特別利益に該当します。
- 企業が所有する土地や建物の売却に伴う利益
- 長い間保有していた有価証券の売却による利益
特別損失(Extraordinary loss)
特別損失とは、「本業」からでも「経常的な業務」からでもない、例外的に発生し、かつ金額的にも大きな損失のことです。
以下のようなものが特別損失に該当します。
- 企業が所有する土地や建物の売却に伴う損失
- 長い間保有していた有価証券の売却による損失
- 火災や自然災害などによる損失
税引前当期純利益(Net Income Before Taxes)
税引前当期純利益は、その名前のとおり、税金が引かれる前の利益のことです。
経常利益に、特別利益を足し、特別損失を引いたものが税引前当期純利益です。
式では以下のように表すことができます。
税引前当期純利益=経常利益+特別利益-特別損失
法人税等(Income Taxes)
企業が事業を営むうえで支払う税金を総称して、法人税等と言います。
以下のような税金が該当します。
- 法人税
- 法人住民税
- 法人事業税
当期純利益(Net Income)
当期純利益は、計算期間における企業の最終的な利益を示します。
計算式は以下のとおりです。
当期純利益=税引前当期純利益-法人税等
当期純利益がマイナスの場合は、最終赤字ということになってしまいます。
参考:トヨタ自動車の損益計算書
トヨタ自動車の損益計算書のリンク(◆)をご参考までにご案内します。
なお、このリンク先のトヨタ自動車のHPでは、以下の項目に限定した表示となっています。
- 売上高
- 営業利益
- 経常利益
- 税引前利益(税引前当期純利益)
- 純利益(当期純利益)
投資家を含めた利害関係者に対して、自社がそれぞれの項目単位ごとにいくら利益を上げたのかをわかりやすく開示しています。
いかがでしたでしょうか。
理解が深まりましたでしょうか。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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