今回は、個人・家庭向けの新型コロナウイルスのリスク対策についてご説明いたします。
新型コロナウイルスのリスク
新型コロナウイルスは個人の生命や社会活動に大きなマイナスの影響を及ぼしています。
そのリスクについてはあらためて説明するまでもないでしょう。
ゼロコロナが現実的な対策ではなくなっている今、私たちはどのように新型コロナウイルスと向き合えばよいのでしょうか。
体系的なリスクマネジメントの考え方に基づいて説明したいと思います。
リスクマネジメントのテクニック(基本的な分類)
具体的な対策方法を説明する前に、まずはリスクマネジメントの基本的なテクニックをご紹介します。
そのテクニックは、「リスクコントロール」で6つ、「リスクファイナンシング」で2つ、合計8つあります。
リスクコントロール
リスクコントロールは、「損害や事故を防ぐ・軽減する」取り組みです。
以下の6種類があります。
- 回避
- 事故防止
- 事故削減
- 分離
- 複製
- 分散
リスクファイナンシング
リスクファイナンシングは、「損害や事故によって必要となる資金を調達する」取り組みです。
具体的には以下の2つがあります。
- 移転
- 保有
リスクコントロール、リスクファイナンシングの詳細については以下(⇓)の記事をご参照ください。
新型コロナウイルスの8つのリスク対策
新型コロナウイルスに関するリスク対策を、先程ご説明の合計8つ(「リスクコントロール」で6つ、「リスクファイナンシング」で2つ)のテクニックに当てはめてご紹介します。
リスクコントロール
回避:人との接触を完全に断つ
「回避」とは損害や事故の可能性のある活動を完全にやめることです。
飛行機事故を避けるために飛行機以外の交通手段を選択するのが「回避」の例です。
新型コロナウイルスに感染しないためには人との接触を完全に断ち切ることです。
他人と同じ場所にいないようにし、さらには他人が触れたものにも触れないようにできれば、新型コロナウイルスに感染するリスクをゼロにすることができます。
完全な「回避」の例ではありませんが、「ステイホーム」や「ロックダウン(都市封鎖)」はこの「回避」の考え方に基づくものです。
事故防止:マスクを付ける、手指消毒をする
「事故防止」は、損害や事故が発生しないようにすることです。
多くの人にとって完全に人との接触を断ち切るのは不可能です。
そこで、社会活動を継続しながら、新型コロナウイルスにできるだけ感染しないように行動することのほうが現実的です。
新型コロナウイルスにおける「事故防止」の例は以下のとおりです。
・マスクを付ける
・手指消毒をする
・ワクチン接種を受ける
事故削減:早期に検査を受ける、応急治療をする、入院する
「事故削減」とは起きてしまった損害や事故の程度を軽減させることです。
やむなく新型コロナウイルスに感染してしまった場合、その症状を少しでも早く発見、軽減、完治させることが重要です。
以下が新型コロナウイルスに関する「事故削減」の例です。
・発熱の疑いがある場合に体温を測る
・解熱剤で熱を下げる
・パルスオキシメーターで血中酸素濃度と脈拍を計測する
・抗原検査キットで感染有無を確認する
・自治体・病院にできるだけ早く連絡して専門の治療を受ける
分離:リモートワークをする
「分離」とは、損害・事故の一極集中を避けるために、自分の財産などを分けて管理を行うことです。
大事な貴金属を自宅と銀行の貸し金庫に分けて保管するのが「分離」の例です。
新型コロナウイルスで言えば、会社がテレワークを積極的に実施することで、万一従業員の一人が感染したとしても、他の従業員への感染のリスクを軽減させることができます。
複製:あなたのコピーは作れない。心身の健康を保つ
複製とは、バックアップやコピーを取っておくことです。
カギや情報などは複製があれば、複製元がダメージを受けたとしても、複製をもとに被害を回復することができます。
残念ながら、今の最先端技術でも、あなたの分身(複製)を作ることはできません。そこで、心身の健康を保ち、感染症に対する免疫力をアップさせることが大事です。
分散:在宅でもできる副業をする、別のスキルを伸ばす
「分散」とは、損害・事故を受ける対象のあるものを、複数の商品、市場、地域などに拡散させることです。
投資商品を複数の銘柄に分けて運用するのが「分散」の例です。投資先を複数の銘柄、金融商品に分散して投資することで、どれか一つの損失を他の利益で補うことが可能です。
新型コロナウイルスの影響で雇用が不安定になったり、収入が減少したりする人が増えています。時代の変化とともに必要とされる業種やスキルは変わってきますので、その人の収入を一つの仕事からだけ、あるいは一つのスキルからだけに頼るのは危険です。
そこで、「分散」の考えを取り入れましょう。収入源・稼げるスキルを複数に「分散」させるのです。
具体的には、副業を始めたり、転職に備えて別のスキルを伸ばしたりすることです。そうすることで、複数の収入源を確保したり、異なる業種への転職に備えたりすることができます。
リスクファイナンシング
移転:公的・民間の保険制度を活用する
「移転」は、万一事故があった場合に、損害の埋め合わせ(補償)の責任を第三者(保険会社など)に転嫁させる手法です。
社会保障制度としての公的な保険制度に加え、生命保険や損害保険に加入することが「移転」の典型例です。
今の備えが十分なのか確認してみましょう。
保有:3ヶ月分程度の生活資金を貯めておく
「保有」は、万一事故が起こった際に主に自己資金を取り崩して資金を調達する手法です。
万一に備え、3ヶ月分程度の生活資金を貯めておきましょう。
最後に
新型コロナウイルスのリスクについても、リスクマネジメントの考え方(フレームワーク)に当てはめて考えることで、もれやダブりのない、網羅的な対策を検討することができます。
備えが不十分だったリスク対策があった場合はぜひ強化しましょう。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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