今回は、リスクマネジメントにおけるPossibilityとProbabilityの違いと活用事例についてご説明いたします。
似ているPossibilityとProbability
「possibility」と「probability」はどちらも日本語では「ありそうなこと」、「起こりそうなこと」という意味で同じように使われますが、リスクマネジメントにおいては両者は明確に使い分けられています。
それぞれの違いについてご説明いたします。
Possibility
「可能性」としてリスクが存在することを示すのがPossibility
possibilityは「可能性」です。
リスクがあり、それが悪影響として顕在化する可能性があるということを示しています。
possibilityの例は以下の通りです。
- 日本では、夏から秋にかけて台風が上陸するおそれがある。
- 免許取り立ての若年層は交通事故を起こしがちである。
- 建設業では従業員が業務上災害に遭うリスクがある。
Possibilityは数値化で表せない
上記の例の通り、可能性(possibility)は、リスクがあることを示すのみです。
リスクが現実の悪影響(事故・損害)として顕在化する割合・確率については示しません。
あくまで、リスクが存在し、そのリスクによる悪影響が起こりうることについて示すだけです。
Probability
「蓋然性(がいぜんせい)」として起こることの確率・度合いを示すのがProbability
probabilityは「蓋然性(がいぜんせい)」です。
日本語でもあまり聞き慣れない言葉ですが、蓋然性(がいぜんせい)とは、その事柄が実際に起こるかどうかの確率または確実性の度合いのことです。
この「確率」・「確実性の度合い」というのがprobabilityの特徴を示すうえでのポイントになります。
probabilityの例は以下の通りです。
- 日本では、夏から秋にかけて台風が上陸する確率が40%である。
- 免許取り立ての若年層が交通事故を起こす確率は30%である。
- 建設業では1年間に従業員が業務上災害に遭う確率は5%である。
先程のpossibilityとの違いがお分かりいただけると思います。
Probabilityは数値として表される
上記の例の通り、probabilityは、リスクが事故や損害として顕在化する確率や度合いを数値で表します。
PossibilityとProbabilityの具体的な違いと活用事例
PossibilityとProbabilityの具体的な違いを事例を比較して確認していきましょう。
Possibility(可能性)
「建設業では従業員が業務上災害に遭うリスクがある。」
どんな業種にも業務上の災害は起こりえますが、建設業の業務上災害は特に多い傾向にあります。
とはいっても「リスクがある」だけでは、ある意味当たり前のことを言っているだけです。リスクはあっても事故は全く起こらないかもしれません。
これでは企業も、従業員も対策のしようがありません。
Probability(蓋然性(がいぜんせい))
「建設業では1年間に従業員が業務上災害に遭う確率は5%である。」
建設業にお勤めの従業員Aさんがケガをするかもしれませんし、従業員Bさんかもしれません。また、災害発生は1月かもしれませんし、12月かもしれません。
誰が、いつ事故に遭うのかは分かりませんが「従業員のうち5%が1年以内に事故に遭う」ことだけは確率的に分かっているということになります。
リスク発生の度合いが数値化されることで、次のような検討が可能になります。
- 建設業A社は、従業員の安全を最優先とし、最新の安全装置を取り入れることで、1年間に従業員が業務上災害に遭う確率を3%に減らすための対策を講じた。
- 就職活動中のBさんは、建設業界を志望業界の一つとしていたが、自分の身の安全を考え、業務上災害の確率が1%の他の業界への就職活動に絞り込むことにした。
上記の例の通り、probability(蓋然性(がいぜんせい))として、リスクの度合いが数値化されることで、その度合の低減に向け具体的な対策を講じたり、他のリスクとの比較検討ができるようになったりします。
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まとめ
PossibilityとProbabilityの違いと活用事例
Possibility
- 「可能性」としてリスクが存在することを示すのがPossibility
- Possibilityは数値化で表せない
Probability
- 「蓋然性(がいぜんせい)」として起こることの確率・度合いを示すのがProbability
- Probabilityは数値として表される
PossibilityとProbabilityの具体的な違い
- Possibilityは危険の存在を示す
- Probabilityは、リスクの数値化により、リスク低減のための対策や他のリスクとの比較検討ができる
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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