今回は「攻めのリスクマネジメント」と「守りのリスクマネジメント」のための残余リスクの管理ついてご説明いたします。
「攻めのリスクマネジメント」について
リスクは避けるだけではありません。事業活動においては積極的にリスクを取ることも重要です。
- 新商品の発売
- 海外進出
- 市場拡大
- 新規事業への進出
- M&Aによる他社買収
- 資産運用
これらはどれも100%成功するわけではありません。
うまくいくと思って計画して実行したものの、失敗に終わる場合もあります。
それでも、組織は成長や株主利益の最大化を目指してリスクを取って活動します。
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」です。
積極的にリスクを取ることはあっても、無計画ではいけません。
積極的にリスクを取りながら、そのリスクを管理することを「攻めのリスクマネジメント」と言います。
なお、損失が生じるか生じないかに加え、利得が生じることもあるリスクを「投機的なリスク」あるいは「ビジネスリスク」と言います。
「守りのリスクマネジメント」について
- 本社建物、工場、設備什器などの有形資産の保全
- 円滑な業務遂行
- 事故防止
- リスク移転対策(保険加入など)
これらの管理を適切に行うことで損失がゼロ、あるいは組織として許容範囲内の損失に抑えることができます。
これが「守りのリスクマネジメント」です。
なお、このようなリスクは、もし事故が起こればマイナス(損失)が生じますが、プラス(利得)が生じることはありません。
ゼロかマイナス(損失)かの二者のみのリスクを「純粋なリスク」と言います。(詳細は上記の関連記事をご参照ください)
残余リスクの管理について
リスク対策に完全なものはありませんので、十分な対策を講じたとしてもリスクは残ります。
この残ったリスクが「残余リスク」です。
残余リスクを許容可能なレベルにまで低減させるための取り組みが「残余リスクの管理」です。
「攻め」と「守り」の両方のリスクにおいて、残余リスクの管理を適切に行うことで、万一の場合も事業活動を安定して継続させることができます。
なお、「リスク対策をなんら講じない場合のリスク」のことを「固有リスク」と言います。
計算式で表すと、「固有リスク」ー「リスク対策(または内部統制)」=「残余リスク」になります。
また、どのレベルまで残余リスクを低減すればよいのかは組織によって異なります。
- 事業の規模
- 事業の内容
- 組織のリスク嗜好(積極的にリスクを取る企業文化かどうか)
たとえ同じ残余リスクであっても、これらの要素によって、残余リスクに対する組織の評価は異なります。
まとめ
「攻めのリスクマネジメント」と「守りのリスクマネジメント」のための残余リスクの管理
- 「攻めのリスクマネジメント」について
- 「守りのリスクマネジメント」について
- 残余リスクの管理について
いかがでしたでしょうか。
また次回も参考になる情報をお届けできればと思います。
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