今回は、投資における「投機的なリスク」の種類についてご説明いたします。
「投機的なリスク」について
「リスクの4分類」に関する別の記事にて「投機的なリスク」を取り上げました。
投機的なリスクとは、損失が生じるか生じないかに加え、利得が生じることもあるリスクのことです。株式投資や事業への投資は「投機的なリスク」の好例と言えます。
これらの投資はうまくいけば莫大な利益が得られることもあるでしょうし、反対に巨額の損失が生じることもあります。また、リスクを取って投資したにもかかわらず、利益も損失も生じなかったというケースもありえます。
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投資における「投機的なリスク」の種類について
今回は「投機的なリスク」のうち、投資に関連するものにはどのようなリスクがあるのかについてご説明いたします。
主に以下の4つがあります。
- 市場のリスク
- インフレのリスク
- 金利のリスク
- 流動性のリスク
それぞれ見ていきましょう。
市場のリスク
将来値上がりすると思って買った株式が逆に値下がりしたり、さらには株式を発行した会社の倒産により株式が無価値になったりするリスクがあります。
債券においても、市場での値上がりや将来の利子所得を期待して買ったにもかかわらず、デフォルト(債務不履行)により元本の払い戻しや利子の支払いが滞るリスクがあります。これらが市場のリスクです。
なお、市場のリスクは「投機的なリスク」の一つですので、利得が生じることもあるリスクです。したがいまして、期待通りに有価証券が値上がりすることで利得が生じることももちろんあります。
インフレのリスク
例えば、20年前は3000万円もあれば買えた家が、インフレにより物価が上昇したため、今では同じ材質・構造の家を買うのに6000万円必要だとします。
20年前も今も3000万円というお金の額に変わりはありませんが、今は3000万円では同等の家が買えませんので、インフレによって今は20年前に比べて購買力が失われたことになります。これがインフレのリスクです。
なお、デフレはこの逆です。
先ほどの例を入れ替えますと、20年前は6000万円かかった家が、デフレにより物価が下落したため、今では同じ材質・構造の家を3000万円で買えるということになります。
つまり、デフレにより、今は20年前に比べて購買力が増したということになります。
このインフレとデフレの例も、リスクがプラスにもマイナスにも作用するという、投機的なリスクの特徴を表しています。
金利のリスク
債券の発行時点における元本と金利の相関関係について
債券の発行には、元本と金利との相反関係があります。
例えば、アメリカのような先進国とブラジルのような新興国では信用力に違いがあります。
仮にアメリカ、ブラジルのそれぞれから「100万円貸してくれたら5年後に110万円にして返す。そのための債券を発行するから買ってほしい」と言われたら、あなたはどちらの国の債券を買うでしょうか。
多くの方は信用力がより高いアメリカの債券を買うことを選択すると思います。
どうしてもお金を借りたいブラジルは、以下の選択をすることになります。
- 元本を安く設定して、より魅力のあるものとする(例、借りるのを100万円ではなく90万円とする)
- 見返り(利息)を高めて、より魅力のあるものとする(例、返す額を110万円ではなく120万円とする)
いずれの場合であっても、ブラジルはアメリカに比べ、同じ額を借りるために多くのコストを費やすことになります。
これが先ほど申し上げた元本と利息(配当)の相反関係の概要です。
流通時点における元本と金利の相関関係について
また、債券の元本と金利との相反関係は、発行時点だけではなく、流通時点においても当てはまります。
債券の金利は発行時点で確定していますので流通後も変わることはありません。しかしながら、債券自体は、主に金利の影響により市場で価格が変動します。(金利が上昇すると債券の価格は下落します)
金利の上昇局面において市場での債券価格が下落する仕組みを例で説明します。
市場全体の金利が上昇しているので、今保有している債券を手放して別の債券を買うことで高い金利を得ることができるとします。
その場合、今となっては相対的に金利の魅力が薄れてしまった保有債権を買った時の値段のままで市場で売却をすることができるでしょうか。
そうはなりません。そのような魅力が薄れた債券は値下げをしないと買ってくれる人は現れないからです。
このようにして、金利の上昇により債券価格は下落することになります。
なお、金利の下降局面においては債券価格は上昇します。金利が下がっているときは、金利が高い債券の魅力が相対的に高まるからです。
これが「金利のリスク」です。金利のリスクもこれまでの例同様、プラスにもマイナスにも作用します。
流動性のリスク
不動産の売却がいい例です。
急に資金が必要になったときに自宅をすぐに売って現金化することは一般的には難しいです。売りたい値段(高値)で売るのはなおさら大変です。
このような、資産を適正な価格で現金化することにともなうリスクが「流動性のリスク」です。
株式や債券のような有価証券にも流動性のリスクはあります。流通量が大きく、取引が活発な銘柄の有価証券であれば、それを市場ですぐに、適正な市場価格で売却をすることができます。
反対に、流通量が少なく、市場でほとんど売買されていない銘柄の有価証券は、なかなか買い手が見つからず、価格も適正なものにはならないリスクが高くなります。
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まとめ
投資における「投機的なリスク」の種類について(リスクマネジメントの基本)
- 「投機的なリスク」について
- 投資における「投機的なリスク」の種類について
- 市場のリスク
- インフレのリスク
- 金利のリスク
- 流動性のリスク
リスクを把握したうえでいかにリスクと上手に付き合うかが大事です。
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