今回は、「損失の影響度」の3つの要素(共通点)についてご説明いたします。
はじめに:「損失の影響度」について
「損失の影響度」の詳細につきましては以下の記事をご参照ください。
「損失の影響度」の3つの要素
「損失の影響度」の説明の例として「自動車」を取り上げます。
大切な自動車が交通事故や盗難に遭うことで経済的な損失(修理・買い替えの費用)が生じるかもしれません。
ここでいう「自動車」は「損害にさらされる資産」です。
「損害にさらされる資産があること」は「損失の影響度」を構成する1つ目の要素です。
なお、その資産はさまざまな原因によって損害を受ける可能性があります。
「損害の原因があること」は2つめの要素です。
例
- 車両の盗難
- 車両同士の衝突
- 自損事故
- 台風などの自然災害
- 対人事故
など
さらに、その原因により「金銭的な損害を伴うこと」も大事な要素(共通点)です。これが3つ目の要素です。
1つの原因で生じる金銭的な損害は1つの種類とは限りません。
例えば、「自動車」の「車両同士の衝突」の事故だけでも、さまざまな金銭的な損害が生じうることになります。
例
- 自分の所有する車両の損害
- 相手の車両の損害(損害賠償)
- 自分のけがの治療費
- 相手のけがの治療費(損害賠償)
- 訴訟費用
などです。
自分の所有する車両自体は「資産」ですが、相手の車両の損害、治療費などは自分のそのほかの金銭的な資産を取り崩してまかなう必要があります。
ご紹介した3つの要素を詳しく見ていきましょう。
損害にさらされる資産があること
一つ目の共通点は「損害にさらされる資産があること」です。
損害を被りかねない資産であればどのようなものでも「「損害にさらされる資産」になりえます。
有形の財産
真っ先に思いつくのは、建物、自動車、貴金属などの有形の財産かもしれません。
例(有形の財産)
- ビルが地震により全壊した。
- マイカーを電柱にぶつけてしまい、修理代が必要になった。
- 泥棒が夜間に自宅に侵入し、貴金属が盗まれた。
無形の資産
加えて、商標権、著作権、販売権(ライセンス)などの無形の資産も対象になります。
例(無形の財産)
- 自社のロゴをまねた製品が販売されたことにより、自社イメージが毀損された。
- 執筆した本の内容が無断でコピーされネット上で広がったため、本の売上が落ちた。
- 競合社が販売権(ライセンス)がないにもかかわらず、それを無視して商品を販売したため、自社の売上が落ちた。
損害の原因があること
二つ目の要素(共通点)は「損害の原因があること」です。
先ほどの例で見ていきましょう。赤太字部分が「原因」です。
例(有形の財産)
- ビルが地震により全壊した。
- マイカーを電柱にぶつけてしまい、修理代が必要になった。
- 泥棒が夜間に自宅に侵入し、貴金属が盗まれた。
例(無形の財産)
- 自社のロゴをまねた製品が販売されたことにより、自社イメージが毀損された。
- 執筆した本の内容が無断でコピーされネット上で広がったため、本の売上が落ちた。
- 競合社が販売権(ライセンス)がないにもかかわらず、それを無視して商品を販売したため、自社の売上が落ちた。
金銭的な損害を伴うこと
金銭に換算されるものが対象(「怒り」、「悲しみ」は対象外)
三つ目の要素(共通点)は「金銭的な損害を伴うこと」です。
「損害」は金銭に換算されるものでなければなりません。
したがいまして、次のようなものは対象外です。
- 怒り
- 不快感・不満足
- 悲しみ
なお、上記の例とは別に「精神的な苦痛」は「慰謝料」として金銭に換算され損害賠償請求されることがあります。
もちろん、このような場合は「金銭的な損害を伴うこと」の要素(共通点)を満たしていることになります。
比較的早く金銭に換算されるものとそうでないもの
また、損害には、比較的早く金銭に換算されるものとそうでないものがあります。
比較的早く金銭に換算される損害の例
- 建物・自動車・貴金属などの有形の財産の損害
- 短期間の休業
- 数回の通院程度で済む治療費
金銭に換算されるまでに時間がかかる損害の例
- リコール事故などの被害が広範に及ぶもの
- 長期の休業
- 長期間の治療費、後遺障害など
最後におさらいをさせてください。
「損失の影響度」の3つの要素(共通点)について
- 損害にさらされる資産があること
- 損害の原因があること
- 金銭的な損害を伴うこと
いかがでしたでしょうか。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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