リスクとハザードとペリルの違いについて

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リスク(risk)とハザード(hazard)とペリル(peril)について

リスク(risk)とハザード(hazard)とペリル(peril)、3つとも英語の辞書では「危険」と訳されます。

日常ではこれら3つがお互い似たような意味で使われることもありますが、リスクマネジメントの実務ではそれぞれ特徴的な意味があります。

リスク(risk)は「損失が生じるかもしれない不確実性」

リスク(risk)は「損失が生じるかもしれない不確実性」のことです。

よって、リスク(risk)は以下の2つの要素があります。

リスクの2つの要素
  • 結果の不確実性
  • 損失が起こる可能性

結果の不確実性

「結果の不確実性」とは「ある結果が起こるか起こらないか確実ではないこと」です。

仮にあなたがある事業に投資したとします。損をするかもしれないと覚悟したうえで、投資を上回る利益が得られることを期待しているわけです。

様々なシミュレーションや準備を行ったうえで「確実にうまくいく」と思った投資でも、ビジネスの世界に絶対はありませんので、運悪く損失が生じることもあります。

また、もし事業がうまくいったとしてもいつになればどのくらいの利益が得られるのかは不透明です。

このように「どのような結果になるのか」、「いつそのような結果になるのか」が不確実な状態が「結果の不確実性」です。

損失が起こる可能性

リスク(risk)は「損失が起こる可能性」を伴います。

例えば、あなたが友人からただで宝くじをもらったとします。

幸運にも当選するかもしれませんが、多くの場合は当たらないものです。

この場合、あなたにとって損失が生じる可能性はありません。なぜならただでもらった宝くじだからです。

このように、損失を伴う可能性がない「ゼロ(何も変わらない)か利益か」のような場合はリスク(risk)は存在しません。

あなたが将来の値上がりを見込んで株を買った場合はどうでしょうか。

この場合は「損失が起こる可能性」があると言えます。

なぜなら、不運にも株価が下落するおそれがあるからです。

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ハザード(hazard)は「損失の可能性を高める状態」

ハザード(hazard)の具体例

ハザード(hazard)は「損失の可能性を高める状態」を表します。

「危険」という言葉を用いると「危険な状態」と言えます。

具体例は以下のとおりです。

  • ストーブとその近くに置かれた油
  • ワックスの拭き取りが不十分な床
  • 雪で凍結した道路
  • 体調がすぐれない状態での運転
  • ノートパソコンの近くのコーヒー
  • 河川の近くの住宅

ハザード(hazard)があるだけでは損失は生じません。ただし、ハザード(hazard)がある状態では、ない場合に比べて損失が生じる可能性が高まります。

ハザードマップ

ハザード(hazard)は「ハザードマップ」として日本語にもなっています。

「ハザードマップ」とは、津波や河川の氾濫、土砂災害、高潮などがその地域に及ぼす「危険な状態」を地域ごと、危険の度合いの違いで可視化した地図のことです。

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ペリル(peril)は「損失の原因」

ペリル(peril)の具体例

リスクマネジメントにおけるペリル(peril)は「損失の原因」という意味です。

なお、英語では「損失の原因」は「cause of loss」と言います。

「損失の原因」を表すペリル(peril)の具体例は以下のとおりです。

  • 火災
  • 落雷
  • 台風・高潮
  • 衝突
  • 水災・洪水

ハザード(hazard)が損失の可能性を高める状態であるのに対して、ペリル(peril)は損害を引き起こす原因です。

お互いの関係を先ほどのハザード(hazard)の具体例を用いると以下の通りとなります。

左(青)がハザード(hazard)右(赤)がペリル(peril)です。

  • ストーブとその近くに置かれた油 → 火災
  • ワックスの拭き取りが不十分な床 → 転倒事故
  • 雪で凍結した道路 → 自動車の衝突事故
  • 体調がすぐれない状態での運転 → 自損事故
  • ノートパソコンの近くのコーヒー → コーヒーをこぼしてしまうことによる破損
  • 河川の近くの住宅 → 洪水・水害

一般的な意味でのペリル(peril)は「差し迫った危険」

一般的な意味でのペリル(peril)は「差し迫った危険」(Serious and immediate danger)という意味があります。 

例文

The economy is now in grave peril.

経済は今まさに重大な危険の中にある。

この例文において、「peril」をリスクマネジメント上の「損失の原因」と訳すと逆に変になってしまいます。

まとめ

ないと

最後におさらいをさせてください。

リスクとハザードとペリルの違いについて

リスク(risk)は「損失が生じるかもしれない不確実性」

  • 結果の不確実性
  • 損失が起こる可能性

ハザード(hazard)は「損失の可能性を高める状態」

  • ハザード(hazard)の具体例
  • ハザードマップ

ペリル(peril)は「損失の原因」

  • ペリル(peril)の具体例
  • 一般的な意味でのペリル(peril)は「差し迫った危険」
ないと

リスクマネジメント全体についてもっと理解を深めたい方はぜひこちらもご覧ください。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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この記事を書いた人

ないとです。
リスクマネジメントおよび内部統制の国際資格を持っています。
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(体脂肪率15%・BMI23・基礎代謝量1800kcal超/日)

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